Syleir’s note

2020.4.1より統計検定やE資格の勉強の進捗を報告しています。統計検定準1級、E資格、G検定取得しました!当ブログへのリンクはご自由にどうぞ。

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“上”を目指す方のための統計検定2級勉強法【準1級を見据えて】

本記事の対象

  • いずれは統計検定準1級、1級受験を考えている統計検定2級受験される方
  • コスパだけじゃなくて地に足のついた学習をしたい方
  • 資格を名ばかりにしたくない方
  • 2級を飛ばして準1級から勉強する方で2級レベルをどう勉強したらいいか困ってる方

はじめに

前から思っていたんですが、巷に溢れているブログの統計検定2級の勉強法、どれもこれも同じようなことを書いてますよね。

 

【テンプレ勉強法】

  1. 過去問をやる
  2. 苦手なところを

    統計学の時間 | 統計WEB

    を見て勉強する
  3. それでもわからなければ教科書を買って読む
  4. 過去問をやる

 

 

これはおそらく2級合格だけを目指すのであれば最適解だと思いますが、さらに上、1級や準1級も目指すという志の高い方にとっては最適解ではありません。2級範囲は準1級の礎になるのでここをおろそかにすると後悔します。最近の準1級試験は難しいのでそんなことはないんですが、一昔前は2級範囲を完璧にすれば準1級は受かるとさえ言われていました。それくらい2級をどう勉強するか、という視点が大事です。

本記事では準1級をとった後の視点から2級をどう勉強すると良いかを書こうと思います。

 

上を目指す上での注意点

巷に溢れている2級対策は2級まででいい人が書いたものに溢れていて、2級を取る最短経路ではあるかもしれません。しかし、準1級まで見据えるなら基礎から叩き込んだほうが総合的に早いと思います。

 

2級取得の勉強量、2級を前提とした準1級の勉強量それぞれを最大効率で勉強していても、最初から準1級を目指した方が2級までの労力は増えても長期的にも記憶に残り、準1級合格までの労力が少なくて済む、ということがあり得ます。シンプソンのパラドックスみたいなものが起こっている気がしています。すなわち、問題を細分化することにより局所最適解が開発されすぎている、という懸念を持っています。また大体は合格直後の投稿が多く、長期的な視点に欠けています。2級合格直後の情報が多く、相当なバイアスがかかっていることに注意する必要があります。そしてこれらの投稿は2級合格という点での最適解に過ぎません。

 

本来、統計検定2級レベルというのはビジネスで使うくらいなら十分に足りる資格であるはずなのに、統計検定2級を取った人はなにか物足りない、これでやっていける気がしないというようなことを言います。これは資格に特化した勉強をしているから、というのも多くあると思います。目の前の問題で点を取ることを最優先にした結果、実務応用への思考回路を鍛えるとか、実務でどう使うとか、そのような視点を欠いた資格保持者が量産されています。企業が就活やインターンシップにおいて資格より実務経験を求めるのもこれが原因だと思っていて、一部の上位資格を除いて、資格ビジネスが流行りすぎていて、資格をゴールにする人が増えすぎています。給与体系に組み込まれている、とか、就活で使う、とか、そういう即効性のある場合を除いて、地に足のついた勉強をした方がいいと考えています。資格試験のいいところはシラバスや出題範囲表があることで初学者でも大筋を外さずに勉強できるところです。資格ビジネスに騙されないようにしましょう。自戒もこめてですが…

 

統計検定に関してはCBT受験ができるようになったことでそこまで期日を意識して勉強する必要がなくなりました。学習が進んだら2級を力試しに受けてみるということができるようになりました。素晴らしいことです。

統計検定2級とそれ以上の違い

1.受験人数

CBT実施前で2級と準1級の志望者数は5〜6倍違います。情報が手に入りにくいのが統計検定準1級以上の特徴とも言えます。つまり2級を取った後5人に1人程度しか準1級に進めていないということです。2級のうちから上を見据えた勉強をすることをおすすめします。

2.過去問の数

2級は年2回実施なのに対して準1級、1級は年1回実施です。しかも範囲が広がるので単元あたりの問題数はさらに少ないです。CBT化に伴いもう過去問が生成されることはないので大事に消費する必要があります。

3.勉強方法が確立されているか

統計検定2級は人気資格で色々記事があり、洗練された勉強法や学習サイト、本があるのに対して、統計検定準1級は基本的に本や教科書での学習になります。また、確立された勉強法が存在しないので、自分で試行錯誤する必要があります。PDCAを回して軌道修正するのを、準1級でぶっつけ本番でやるのではなく2級から始めた方がよいと思う理由がここにあります。とは言いつつ、ここに勉強法を書いているのは自己矛盾ではないか?とも思っていますが突っ込まないでください。

4.難易度、数式の出てくる頻度

統計検定2級は最悪数式から逃げて合格することができます(事実そういう文系が数式理解なしで合格した趣旨の記事もあり、感覚的な理解のみで押すことも可能でしょう)。しかし準1級以上ともなるとそうもいきません。基本的に全範囲に渡って数式と向かい合うという必要が生まれます。統計検定2級は基本的に高校数学までの知識で足りますが、準1級以上は大学レベルの線形代数微積分の学習が必要不可欠です。実際自分も準1級の学習は線形代数微積分の基本的な計算から始まりました。2級レベルで数式から逃げた感覚的な理解だけで進むと後々後悔します。

5.典型問題の出題数

2級に関しては基本的には一部の分散分析を除いて見たことある設定に対して既存の手法を当てはめれば大体解くことができます。しかしそれ以上は初見の設定に対して初見の手法を当てはめて頑張って数式計算して解釈するとか導出をする、といった作業が要求されます。なかなか厳しい戦いが待っています。

必要な能力

ということで、教科書や本を読み解いていく力、数式展開を自分で追って理解するのが必要になります。そして過去問は量が少ないので雑な使い方をせず、実力の確認用に使うのがいいと思います。勉強方法を自分でチューニングして、試験に向かうということが必要になります。

 

具体的には何をしたらよいか?

準1級を見据えて勉強を始めて2級レベルに達したら2級を受けるというスタイルで大丈夫です。準1級を見据えるといっても、どんなに長くても1ヶ月(≒土日8日フルタイムで)ちゃんと勉強すれば2級合格水準には到達します。

 

おすすめはまとめられた記事や動画での学習から入るのではなく、書籍での学習を行うことです。今後も統計学分野は文字ベースでの学習が主流であると考えられ、このトレンドはしばらく揺るがないので学習段階から書籍での学習を推奨します。

 

  1. 公式の教科書である、改訂版 日本統計学会公式認定 統計検定2級対応 統計学基礎を通読する

     

  2. 統計学入門 (基礎統計学Ⅰ)を通読する

     

     

  3.  過去問 日本統計学会公式認定 統計検定 2級 公式問題集[2018〜2021年]をやる

    注)今年度版は11/25発売予定、お急ぎの方は日本統計学会公式認定 統計検定 2級 公式問題集[2017〜2019年]をどうぞ

  4. 過去問でわからなかったところを1や2で調べる
  5. それでもわからなければ統計学の時間 | 統計WEBを見る

この方法は2冊以上の本を読んで本ベースで学習を進めるところが肝になっています。高難易度になればなるほど書籍ベースの学習が重要になるのと、統計学という分野は定義が本によってまちまちだったりする(ベータ分布の定義式とかKLダイバージェンスとかの定義式が有名)ので、2冊以上に当たるというのが大事です。1冊の本でわからないところをもう1冊で補完する学習が重要になります。なおこの2冊の特徴については下記でまとめてあります。

syleir.hatenablog.com

この記事にも書いてありますが、この統計学入門 (基礎統計学Ⅰ)に触れるということが今後の学習につながります。準1級ではこの上位本で学習する必要がありますが、この本が前提知識として必要だからです。サクッと1冊目で理解した後に定義から読み込むときちんとした理解を得ることができます。

 

まとめ

  • 巷の2級対策は2級がゴールになっている
  • 総合的に見た勉強をした方が結果的に効率がいいこともある
  • 本をベースの学習がオススメ

 

2級の学習が終わったあとの次のステップはこの記事がおすすめです。

syleir.hatenablog.com