Syleir’s note

2020.4.1より統計検定やE資格の勉強の進捗を報告しています。統計検定準1級、E資格、G検定取得しました!当ブログへのリンクはご自由にどうぞ。

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【2021年度】統計検定準1級に合格しました。【歴代最高難易度】

2021年6月20日に行われた統計検定準1級試験に合格していました。

試験内容、受験戦略と受験動機、勉強内容について、ブログ上に記録として残したいと思います。

 

バックグラウンド

  • 大学生
  • 非理数、非情報系
  • 東大数学80点くらいの高校数学力
  • いわゆる大学数学を学んでいない
  • 統計が好きで数理統計学の勉強をしていた
  • pythonはちょっとだけ使えてた(AtCoder緑)
  • E資格取りました!

試験内容

120 分、マーク30問程度、部分記述小問8問程度、記述問題大問3つから一題選択です。
レベル感としては一般的な資格試験(英検とか数検、漢検など)の準 1 級とは一段上の印象があります。また、統計検定で比較しても 2 級からも難易度の乖離があり、なかなか大変です。試験の特徴としては範囲がめちゃめちゃ広いことが特徴付けられます。合格率も15〜20%とまあまあ低く、 1 級ともやや性質の違う試験で、1 級は数理統計学でバリバリ計算させて証明などを聞くスタイルなのに対して、準 1 級では実際に色々な解析ができるかどうかを聞いています。その意味でより実践的な資格であると思います。

公式HPの出題範囲表を見て頂ければわかりますがなかなかシビアです。今までの試験は範囲が広い代わりに1問1問はそこまで難しくないという感じでしたが、2019年試験から難化が始まり、2021年は明らかに難易度がおかしかったと思います。今後CBT試験になりますが、この傾向は続くと思われ、より難しい試験になってきています。

 

受験動機

統計検定は知人の勧めで勉強しはじめて、2 級を勉強しはじめましたが、明らかに合格できそうな手応えと、CBTのためいつでも取ろうと思えば取れる資格であること、受験料が高いということで、上位試験の準 1 級を取ればいいんじゃない?という楽観のもと 2020年の試験を受けるつもりで2020年4月から勉強を開始していました。しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響で試験中止になり、延期の検討の通知がありましたが、2020年度は正式に中止が告知されました。その後、しばらく1級の対策をしていました(結局それも流れてしまいましたが)。2021年2月にE資格を取りその後どうしようかと思っていましたが、統計検定準 1 級は最近は機械学習、深層学習よりの出題が増えてきた印象もあり、E資格の勉強が生きるのではないかという思惑と、2020年のリベンジをしてみたいという思いもあり、今回は今年で学生が終わるのでまともな勉強時間が取れるラストチャンスということで、準 1 級を今年の春ごろから対策を始めました。

 

受験戦略

自分は高校数学はそこそこ得意でしたが、大学数学はやっておらず、統計では線形代数や大学レベルの微積分が求められるため、まず数学から勉強を始めました。統計検定で使う数学は線形代数でも微積分でも基本的なところが大きいので、使う教科書は大学1年生が使うものならなんでもいいと思います。自分は大学の先生と相談して、微分積分学齋藤正彦 線型代数学を使用しました。教科書は自分のレベルに合わせて、わからない計算が出てきた時に体系的に勉強していけばいいと思います。(資格試験合格が目的ならわからない行間を埋めてもあまり効率は良くないので)

2020年受験の時は統計検定準1級の対策もいい本がなく、色々な教科書を買って勉強していました(後で所感をまとめます)が、2020年秋に画期的な対策本が発売されました。それがこの本

 

 

で、網羅的に薄く広く範囲を整理してくれているので、勉強の第一選択になってきました。統計検定受験会場でもみんな持ってて今後必須になってくるのではないかと思います。この本の良いところはよくまとまっていて、過去問ベースの例題が載っていて、演習もできるところにあります。悪いところはよくも悪くも薄いので、応用は独自に勉強しなくてはいけないところ、章ごとの難易度の乖離が激しいこと、何よりこの本からはそのままではあまり出題されないことです。しかしこれ以上の勉強本はないので必然的にこれを使うことになります。

あとは過去問(例題を含めて6年分あります)、頑張ってやり込みましょう。分野別に勉強したことはまた別記事でまとめます。

何をどの時期にやったかですが、この統計学実践ワークブックは30章あり、1日1章で30日なので、これを1ヶ月でやろうと計画し、これを本番2ヶ月前〜1ヶ月前にやろうという方針を骨子に据えました。

具体的には、

〜1年前 統計検定1級の勉強に伴い数理統計をやる
〜3ヶ月前 E資格受験の勉強に伴い線形代数機械学習、深層学習分野をやる
〜2ヶ月前 基本的な数学の復習、数理統計の復習、過去問を触ってみる
〜1ヶ月前 統計学ワークブックをやる
〜1週間前 過去問をやりながら分野別に教科書を読み、わからないところを潰す
〜3日前 統計学ワークブックを復習する、行間もわからないところはできるだけ埋める
〜本番 過去問でわからないとこを潰す

というスケジュールでやっていきました。一日の勉強時間にはばらつきがあり、1日1時間しかやれない日もあれば休みの日で15時間くらい勉強している日もありました。あまり気負わず、やりたい時にやれるだけやることを意識していました。直前期が大学がめちゃめちゃ忙しく、もっと追い込みたかったんですけど受かったのでよしとします。

統計検定過去問に関するtips

統計検定準1級の現在発売されている過去問は2018〜19年のものと2016〜17年の2つ、合計4年分です。しかし実はあと2セット演習可能な問題集が存在し、それが2014〜15年の旧版の問題集に2015年準1級が記載されているのと、2級の2012〜14年の問題集の中に例題集が1セット載っています。昔の問題はやや簡単な問題があって拍子抜けしますが直前期に演習が足りない場合はこれらのものを買っても良いでしょう。絶版なのでやや高いですし1年分ずつしかないのでややもったいないですが。

学習内容・使用した教科書

めちゃくちゃ長くなっちゃったので別記事

syleir.hatenablog.com

で書いてます。力作なので良かったら見てください。

受験申し込み

新型コロナウイルス感染症感染拡大に伴い、今年は大阪会場での受験がありませんでした。受験者数が絞られるのではないかという懸念から申し込み開始日に最速で申し込んだのを覚えています(実際は本番会場めちゃくちゃ確保されていて、完全に杞憂でした)。会場自体は広かったですが開催地はそんなに多くないので、受ける方はどこで受けるかを十分に検討しましょう、って言おうと思いましたが、今年からCBTでした。忘れてください。

受験票が遅れて届いてまあまあ焦ったのと、受験票に3.0×2.4 cmの写真が必要でまあまあめんどくさかったです。 

試験本番

試験本番は会場は長机に一人ずつ座っていく感じで距離が確保されていてとても快適でした。会場の確保、人員確保はとても大変だったと思います。統計検定の協会の方々、どうもありがとうございました。試験本番に来ない人もまあまあいて、空席が目立ちました。今回の試験は1000人申し込んで700人受験、100人強が合格って感じでしたが、合格率は合格者/受験者で計算されており、体感難易度は合格率よりも高く感じました。本番は時計、電卓、ハンカチなどは持ち込み可、飲み物を飲みたい場合は挙手でした。案外時間が足らなくてびっくりしました。過去問やりすぎて本番のセットを完全初見で解く練習って出来ないんですよね。過去問やってない場合でも過去問から統計学実践ワークブックの例題がそのまま引用されている場合もあるので完全初見で本番の時間で解く練習は難しいです。やる場合は2021年のセットで今後受ける方々はやることになると思うんですけど、2021年のセットは傾向が変化して難易度も上昇しているので早めに手をつけた方がいいと思います。選択問題の最初の数ページ、全くわからなくて不合格を確信していましたが、諦めずに計算していって良かったです。120分と長い試験なので気持ちを強く持ちましょう。

本番セットは先述したように傾向変化と難易度上昇の嵐で部分記述で計算ミスやらかしたこともあって、試験後はちょっと落ちたかな〜と凹んでました。(そのせいで今までブログの更新もやる気が起きませんでした)。試験終了後のtwitterが大荒れだったのを今でも覚えています。具体的な問題については触れませんが、過去問を解いてこの気持ちを味わってください。数理寄り、機械学習寄りの出題が増えてきている印象があります。

 

試験を終えての反省

ワークブックを過学習するのは良くないなーと思いました。公式から出された本というので多くの受験生はこの本に相当な心理的信頼を置いていたと思いますが、実際の出題とは乖離していて(著者陣は悪くなくて試験作成者が意地悪)、これだけだと難しかったなという印象を受けました。数理よりの問題も多く、これからは統計数理を含めた 1 級の問題も使って対策した方がいいのかな〜なんて思ってしまいましたが(統計応用の過去問で解いてもいいかな〜というものは統計検定準1級対策になる1級の問題としてまとめておきました)、準 1 級の難易度がこれ以上インフレして 2 級と乖離していくのは統計学徒を増やす上では逆効果なのではないかな〜とやや危惧しています。

ワークブックだけやればいいよなんて甘い話はなくて、自分で深く勉強しなきゃいけないなと実感しました。今後のアカデミックな勉強姿勢としても反省していきたいです。

 

G検定、E資格との関わり

 G検定とE資格を所持していますが、G検定はさておき、E資格は統計検定準 1 級受験に大きく役立ちました。最近は出題が機械学習分野により始めていることもあって、自分で実装したことのあるアルゴリズムがちょくちょく出てきて面白いです。本番でも自己符号化器による次元削減の問題が出題され、勉強していて良かったなあって思いました。E資格持ってる皆さん、統計検定準 1 級はおすすめです。逆に統計検定のためにE資格を取るのはちょっと違うので誤解なきよう。E資格の勉強のためにも統計検定2級レベルで大丈夫です。微妙にそれぞれ守備範囲が違いますが、だからこそどっちも勉強するといい感じに体系化されて面白かったです。

終わりに

今後はせっかく勉強したので研究とかで使っていこうと思ってます。何か不明点があればぜひコメント、連絡ください。twitterは@_vy3でやってます。ついでにこないだからリンクをアフィに差し替えたので生計を助けてあげてもいいよっていう優しい方がいればブログのリンクから買ってください(土下座)。