Syleir’s note

2020.4.1より統計検定やE資格の勉強の進捗を報告しています。統計検定準1級、E資格、G検定取得しました!当ブログへのリンクはご自由にどうぞ。

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【Part1】統計検定準1級 時系列解析のまとめ【過去問の分析・出題内容・勉強法】

 

はじめに

本記事は統計検定準1級の時系列解析分野を高校数学レベルから丁寧に解説してみようという趣旨です。対象は統計検定2級を取ったくらいの方から準1級の入り口で悩んでる方くらいが主な想定です。書き始めたらとても長くなってしまったのでいくつかのPartに分けて投稿することにしました。Part1は分析が中心です。

敵を知る

科目としての性質

時系列解析は統計検定2級にはほぼ出されないので新たな勉強が必要になります。これがネックなところで、2級と準1級のレベルの乖離が激しい分野になります。例えば分散分析なんかは1元配置分散分析が2級レベルなので(勉強しなくても合格レベルに到達するのがネックですが)勉強しやすいのですが、時系列はそうもいきません。最初から初出の概念が以下のようにたくさんあって、しかも奥が深いので大変なのが特徴です。

出題範囲表

出題範囲表では

  • 自己相関
  • 偏自己相関
  • ペリオドグラム
  • ARIMAモデル
  • 定常性
  • 階差
  • 状態空間モデル

が出題範囲となっています。

過去問での出題状況

では実際の出題状況を見ていきたいんですけど、具体的な問題内容については著作権の関係から触れません。せっかく安くいい問題集が発売されたので買ってあげてください。

 

 

この問題集のいいところに関しては
syleir.hatenablog.com
この記事でご紹介しています。

2021問10
自己共分散関数、自己相関関数
MA,ARモデル
コレログラムとスペクトル密度関数
2019問12
ARモデルの定常条件、MAモデル、コレログラム
2018問8
ARモデルのコレログラム、推定と統計的推測
2018問12
コレログラム、時系列の成分分解
2017問8
AR(1)、コレログラム、DW統計量
2016問5
DW統計量と1次の自己相関係数の推定値
2015問10
自己回帰係数の意味、DW統計量の意味
例題 問13
平滑化したペリオドグラム

なんと全年度で出題されています。例題も含めてです。めちゃめちゃ出るなとは薄々感じていましたが... 統計検定準1級の試験というのは高々15問くらいの大問で構成されているので毎年出るというのはこれを勉強する期待値が相当高いことになります。単純にワークブックで見ても30章くらいあるので他の分野の倍くらいは出題されやすいということになります。
ちなみにDW統計量に関しては2017年までは出題されていましたが最近はめっきり影を潜めています。飽きたのか作問の方が変わったのかシラバスにないことを出さないようになったのか。
過去問を分析した結果、特に手厚い出題がある分野は
自己共分散関数、自己相関関数、ARモデル、MAモデル、コレログラム、スペクトル密度関数、DW統計量になります。
今は全くわからなくてもいいです。本記事ではコレをまとめていくことにします。

統計検定受験の際に掲げた到達目標

syleir.hatenablog.com

過去記事における自分の到達目標はこうです。

  • 自己共分散、自己相関係数の定義がわかる
  • 弱定常過程、強定常過程の定義が言える
  • AR,MA,ARIMAを数式で定義できる
  • グラフをみてモデル選択基準がわかる
  • スペクトラム、デンドログラムの気持ちがなんとなくわかる
  • DW比の近似式と意味がわかる

自分で言うのもアレですが、いいことを言っている気がします。過去の出題が手厚いところをカバーしています。

公式本での取り扱い

統計検定準1級のバイブル、日本統計学会公式認定 統計検定準1級対応 統計学実践ワークブック

 

 


ではこれらが取り上げられています。

多いですね。この本はバイブルなので勉強した方がいいのは間違いありませんが、紙面の都合に対して詰め込んでいる量がすごいのでコレだけだと消化不良になります。これは全分野でそうなので積極的に消化をするように意識した方が良いです。

時系列解析の勉強法は?

従来の王道と言われていた本は以下の2冊です。

 

 

自分がこれらの本を買ったのも統計検定準1級受験の時で、非常に役に立ったのを覚えています。誤解のないように2度言うと、非常に役に立ちました。ただ上の本は株価分析などのファイナンス分野に寄りすぎていて、下の本はやや難易度が高いです。これら以外にも時系列解析の本はたくさんありますが、RやStanを使ったコードを中心の解説であまり基礎の基礎の概念の説明をしてくれるものがなかったです。あともちろんですが統計検定に特化した本は存在しませんでした。そこで、統計検定の勉強をするにあたって一歩目をサポートしてくれるものがあればいいのにとずっと思っていました。

1歩目の概念理解→ワークブック過去問→わからないところを成書で確認

という勉強法が一番賢いと今でも思っています。

 

本記事の目標

ということで長くなりましたが、公式本の手薄なところや初学する上での知っておいた方がいい知見を、ブログならではのアプローチの多彩さや動的な解説が可能という利点を生かして、力尽きるまで書くというのが本記事の目標です。おそらくPart6くらいまでいくと思いますがお付き合いください。よろしくお願いします。

 

次の記事はこちらです。

syleir.hatenablog.com